六月の蛇 A SNAKE OF JUNE

2002/海獣シアター製作/ゼアリズエンタープライズ配給/03年5月24日公開/渋谷シネ・アミューズ、銀座シネ・ラ・セット(L)/35ミリ/コダック/アシディック・ブラック&ホワイト(カラーポジ・プリント)/スタンダード(1:1.33)/DTS STEREO/77分/4reels
©2002 KAIJYU THEATER・TSUKAMOTO SHINYA

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小説 六月の蛇
A SHAKE OF JUNE

〈解説〉塚本自身が「出発点であり、ひとつの到達点」という本作は、20年間塚本が温めていたアイデアがベース。死の病を宣告されたストーカーにより、変態的な陵辱を強要される人妻を描く。共にガンに侵された男女の性的な駆け引きに、女の夫が絡む奇妙な三角関係が、梅雨の東京で展開され、大量の雨と切なく震える感情で画面はしっとりと濡れていく。

〈略筋〉梅雨の東京。潔癖症の中年サラリーマン辰巳重彦(神足裕司)と、心の健康センター電話相談室に勤める妻・りん子(黒沢あすか)。高級マンションで恵まれた生活を送る二人。一流企業に勤務する重彦の帰宅は遅く、会社から早く戻った時はキッチンを執拗に磨き上げ、夜になるとダブルベッドを抜け出していく。一方、死の病に冒され、生きる気力をなくした飴口道郎(塚本晋也)は、暗室と隣り合わせの居室で孤独に座り込んでいた。まもなくりん子は、職場で道郎から自殺予告の電話を受け、彼に励ましの言葉を与える。それをきっかけに、道郎のストーカー行為が始まる。りん子宛てに届いた封書には、彼女の自慰行為を盗み撮りした写真が入っていた。道郎の脅迫が始まる。りん子は極端に短いスカートをはいて街を歩かされ、ポルノ・ショップへバイブレーターを買いに行かされ、そして・・・。死の痛みと圧倒的な孤独の中、自らを開放していく女の姿を描く。

☆02年ヴェネチア国際映画祭審査員特別大賞/02年ヴェネチア国際映画祭協賛キネマトリックス長編映画部門最優秀作品賞/02年シッチェス国際映画祭最優秀美術監督賞/03年ポルト国際映画祭ファンタジー特別賞/03年ポルト国際映画祭最優秀主演女優賞(黒沢あすか)

[スタッフ]
プロデューサー・監督・脚本・撮影監督・美術監督・照明監督・編集:塚本晋也
音楽:石川忠
アシスタントプロデューサー・助監督:川原伸一
助監督:小出健/黒木久勝
撮影:志田貴之
照明:吉田恵輔/斎藤香織/由利敦子
制作・メイク:福山秀美
衣裳協力:岩崎浩子/加藤ゆか
衣裳担当:河野稔子/空閑雅子
スチール:天満眞也
録音:小原善哉
音響効果:北田雅也/柴崎憲治
美術:広瀬陽一/山本雅夫/中村佑子/西宮由貴/越賀あや/千葉友子
特殊効果:中村元/林啓史/吉田光希
ガンエフェクト:唐沢裕一
特殊メイク:織田尚
制作進行:福山秀美/山下若菜/岡素子
現像:IMAGICA
配給プロデューサー:日下部圭子
海外プロデューサー:朱京順

[キャスト]
辰巳りん子:黒沢あすか
辰巳重彦:神足裕司
飴口道郎:塚本晋也
りん子の同僚:鈴木卓爾
八百屋:不和万作
重彦の母:花原照子
アダルト雑誌・編集長:田口トモロヲ
アダルト雑誌・カメラマン:大槻修治
若い警官:寺島進
年輩の警官:真実一路
警官:山口剛
大人の玩具屋・店員:鈴木一功
大人の玩具屋・客:塩田時敏/ジーコ内山/中村元
デパート・若い客:村瀬貴洋/塩崎誠/辻岡正人/佐久間高秀

双生児 GEMINI

1999/セディック・丸紅製作/東宝配給/99年9月15日公開/35ミリ/コダック/カラー/ドルビーSR/アメリカンビスタ/84分/6reels/PG12指定
©1999 SEDIC INTERNATIONAL MARUBENI/2012年現在配給:セディック・インターナショナル

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〈解説〉本木雅弘の発案により、江戸川乱歩の同名短編小説を映画化。塚本は少年期から乱歩の熱狂的なファンだったが、舞台を明治末期に移し、短編の原作を大幅に脚色した。塚本が敬愛していた北村道子の衣裳の力も大きい。『ヒルコ/妖怪ハンター』と同じセディックインターナショナルの製作だが、塚本のプロダクション、海獣シアターも全面的に協力しており、メジャーとインディペンデントの合体体制で撮影が進められた。“敵対する分身“は塚本の重要なモチーフである。

〈略筋〉階級意識が歴然とあった明治末期。大徳寺医院の跡取として、医師の地位も名誉も、そして若く美しい妻りん(りょう)をも手にした大徳寺雪雄(本木雅弘)。そんな誰もが羨む大徳寺家に、次々と不幸が襲いかかる。父・茂文(筒井康隆)、母・美津枝(藤村志保)の不思議な死。また雪雄は、日増しに自分にまとわりつく謎の視線に悩まされるようになる。ある日、一人で庭に出た雪雄を襲う影があった。ぎりぎりと首を絞めてくる手の持ち主を一目見ようとした彼の目に映ったのは、自分と全く同じ顔をした男、捨吉(本木雅弘、二役)だった。

☆99年プサン国際映画祭観客賞/00年ヌシャテル映画祭グランプリ/00年シッチェス映画祭音楽賞/第14回高崎映画祭最優秀主演女優賞(りょう)

[スタッフ]
企画製作:中沢敏明/古里靖彦
プロデューサー:西村大志
アソシエイトプロデューサー:鶴岡智之
監督・脚本・撮影監督・編集:塚本晋也
原作:江戸川乱歩「双生児~ある死刑囚が教誨師にうちあけた話~」
美術プロデュース:種田陽平
美術:佐々木尚
装飾:石田登
衣裳:北村道子
ヘアメイク監修:柘植伊佐夫
ヘアメイク:勇見勝彦
特殊メイク:織田尚
音楽:石川忠
音響効果:柴崎憲治
整音:小原善哉
スチール:中野愛子
助監督:大谷清英
CGI:坂美佐子/小畑正好/田所貴司
演出助手:小出健/黒木久勝
撮影助手:森下彰三/志田貴之/鈴木智則
照明:まつくましんいち/小川大介/鳥谷部康広/宮尾康史/吉村俊弘/吉田恵輔
美術助手:三ツ松けいこ
小道具協力:山下順弘
着付:飯田裕子/山田恵里
スタントコーディネイト:辻井啓伺
操演:鳴海聡/船橋誠

製作協力:海獣シアター

[キャスト]
大徳寺雪雄・捨吉:本木雅弘
大徳寺りん:りょう
大徳寺美津枝:藤村志保
大徳寺茂文:筒井康隆
シゲ:もたいまさこ
乞食僧侶:石橋蓮司
角兵衛:麿赤兒
富豪:竹中直人
復讐の若者:浅野忠信
診療所患者・中年:田口モトロヲ
診療所患者・若者:村上淳
診療所患者・母親:内田春菊
貧民窟の老人:今福将雄
滝江:大方斐紗子
俊子:広岡由里子
すず:猪俣由貴
子供:溝口遊人
刑事:金守珍
戦争の男:塚本耕司

BULLET BALLET/バレット・バレエ

1998/海獣シアター製作/ゼアリズエンタープライズ配給/00年3月11日公開/渋谷シネ・アミューズ/35ミリ/B&W/ステレオ/アメリカンビスタ/87分/8reels/コダック/モノクロ/R15指定
©1998 TSUKAMOTO SHINYA・KAIJYU THEATER

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バレット・バレエ
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〈解説〉「鉄男」世代とジェネレーションX世代の冷たい戦争を描くが、これまでの徹底的な暴力性が変化し、叙情性が加わる。拳銃の入手に関するリアリティーが徹底追及され、ドキュメンタリー的なタッチも採用された。戦争という塚本にとって重要なテーマの発芽がある。当時BLANKY JET CITYのドラマーだった中村達也の初演技も印象的。また、98年ヴェネチア映画祭ワールドプレミアを皮切りに、25の映画祭で上映した98分版をプレミアヴァージョン、その後、再編集された劇場公開版をプログレスヴァージョンとた。

〈略筋〉拳銃自殺で恋人の桐子に先立たれたCM制作会社員の合田(塚本晋也)。この事件をきっかけに、合田は桐子(鈴木京香)の死の要因となった拳銃に傾斜し始める。ある日、泥酔した合田は、不良グループの少女、千里(真野きりな)と再会する。合田は以前にからまれたことで文句をつけるが、後藤(村瀬貴洋)たち五人に囲まれて殴り飛ばされ、自分たちがたむろするクラブに金を持ってくるように脅される。合田は彼らに復讐するべく、拳銃を求めて街を彷徨う。だが入手は難しく、自らの手で拳銃を作りクラブに殴り込むが、素人が作った改造拳銃ではダメージを与えることができず、またしても不良グループの前に無力さをさらけ出すことになってしまう。一方、クラブのオーナーであり、不良たちのカリスマ的リーダー、出射(中村達也)は、不良たちに死のゲームを楽しめ、と囁いている。ゲームのような実体感のなさでしか暴力をとらえていない不良たち。反面、いつかは就職し安定したいと考えるアンバランスな側面を持っている。そんな中、死へ傾斜する千里と合田の間に不思議なシンパシーが生まれ、合田はあるグループとの戦いで千里が死を覚悟していることを知る。合田はついに拳銃を手に入れ、実体のつかめぬ自分の肉体を確かめるべく、渾身の力で拳銃を握り締め、深夜の街へと飛び出していくのだった。

☆98年スウェーデンファンタジーフィルムフェスティバルグランプリ

[スタッフ]
プロデューサー・監督・脚本・撮影監督・撮影・美術監督・編集:塚本晋也
照明・撮影・スチール:天満眞也
助監督:川原伸一/大谷清英/小出健/黒木久勝
監督助手:吉田恵輔
撮影助手:志田貴之
音楽:石川忠
美術:山本学/細野太郎/木村亜希子/江原真美/堀内智恵
録音:柿沼紀彦
整音:関谷行雄
効果:柴崎憲治
製作進行:福山秀美/石塚麻由美/関谷楽子
特殊メイク:織田尚
特殊造型:高濱幹
メイクアップエフェクト:原口智生
ガンエフェクト:唐沢裕一
衣裳:岩崎浩コ/岡村可也/片岡友美/平岡希実久
特殊効果:鳴海聡/船橋誠
銃器監修:津田哲也
特別協力:古賀一馬
海外プロデューサー:朱京順

[キャスト]
合田:塚本晋也
千里:真野きりな
出射:中村達也
後藤:村瀬貴洋
警官:田口トモロヲ
遠藤:井筒和幸
組長:金守珍
桐子:鈴木京香
工藤:井川比佐志
その他の出演者:塩崎誠/辻岡正人/佐久間高秀/神高貴宏/塚本耕司/黒沼弘巳/吉田恵輔/吉川光/三島裕/川原伸一/遠山健司/田崎詩織/カティージャ・バダミ/梅田宏/姥山良子/小林尚睦/木村慶太/津田哲也/唯野未歩子

東京フィスト TOKYO FIST


1995/海獣シアター製作・配給/95年10月21日公開/BOX東中野/35ミリ/コダック/カラー/モノラル/アメリカンビスタ/87分/7reels/R15指定
©1995 KAIJYU THEATER

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〈解説〉かつて現役のボクサーだった塚本の実弟・耕司の話が企画のヒントとなり、彼をボクサー役で役者に起用。最初に脚本を依頼した斎藤久志(クレジットは原案)のアイデアにより、塚本晋也演じるサラリーマンが恋人を友人のボクサーに寝取られて激怒するという、三角関係の愛憎物語に発展した。無数のピアッシングと刺青により野性の血に目覚めるヒロイン。コンクリートで囲まれた東京で、ボクシングという血を流すスポーツに出会い、原始的な本能を呼び覚ますひ主人公。「鉄男ⅡBODTY HAMMER」で始まった「都市と肉体」論が進化し、異常なテンションが高まる三角関係の物語に発展する。

〈略筋〉ボクシングの試合会場を訪れた保険会社のサラリーマン、津田義春(塚本晋也)。彼は、そこで最も会いたくなかったかつての友人、プロボクサーの小島拓司(塚本耕司)と再会する。彼は高校時代の後輩だったが、当時、共通の女友達を殺された暗い過去を持っており、それが原因で疎遠になっていた。義春はこの出会いに言い様のない不安を感じる。果たして拓司は、義春の婚約者ひづる(藤井かほり)を誘惑し始める。拓司の挑発に義春の怒りが爆発。相手がプロボクサーであるにもかかわらず、無謀にも拓司のアパートへと殴り込むのだが、あっさりと打ちのめされてしまう。ひづるの中で何かが目覚め、やがて華奢な体に痛々しいほどのピアスや刺青を施し始める。そして自分を束縛しようとする義春のもとを去り、拓司と暮らし始める。ひづるを失った義春は拓司への憎しみを募らせながらも、拓司の通うボクシング・ジムに入門。取り憑かれたようにトレーニングに励む。凶暴性を発揮していく義春。上り調子のボクサーとの試合に恐れを感じる拓司、そして自分自身もどこへ向かおうとしているのか分からないひずるの激しい三角関係。彼らはそれぞれの答えを出そうとするのだった。

☆95年サンダンス・フィルム・フェスティバル・イン東京グランプリ/96年ロカルノ国際映画祭ヤング審査員特別賞/95年キネマ旬報新人男優賞受賞(塚本耕司)/95年キネマ旬報第10位/第10回高崎映画祭最優秀監督賞受賞、最優秀助演女優賞受賞(藤井かほり)

[スタッフ]
プロデューサー・監督・脚本・原案・撮影・美術監督・照明・編集:塚本晋也
原案:斎藤久志/塚本晋也
音楽:石川忠
美術:小出健/黒木久勝/磯野勇/山口るみ/外山光子
録音:川島一郎
整音:関谷行雄
効果:柴崎憲治
助監督:大谷清英
撮影助手:横山克典/志田貴之
監督助手:松山香/金丸博/牧野朝香/静野裕之
製作進行:中崎清美/塚田知子
特殊メイク:深谷陽/井上忠弘
特殊造型:織田尚/寒河江弘
ヘアーメイク:佐々木かおり/中原康博/川上久美
衣裳:岩崎浩子/佐藤博子/豊田真弓/大山比珠子
スチール:天満眞也
海外プロデューサー:朱京順
特別協力:相原裕美
宣伝:Be Wiz

[キャスト]
津田義春:塚本晋也
藤本ひづる:藤井かほり
小島拓司:塚本耕司
会長・白田:輪島功一
トレーナー・長谷:六平直政
トレーナー・大泉:竹中直人
トレーナー・小宮:宮田正明
練習生・余木:柚木健吾
練習生・青木:雑賀俊光
その他の出演者:飯田正人/中田公二/荒谷清水/梅田敏治/平口広美/及川英貴/神林和雄/叶岡伸/波多雅子/満野千加子/岩田珉/吉村やよい/谷本美穂/日置明子/鈴木美和子/松本コンチータ/田幸恵/佐々木直美/ジーコ内山/金内智子/田口トモロヲ/小松沢陽一/塩田時敏/唯野未歩子/中沢あずさ/小野綾子/野木亜希子/金丸博/小出健/姥山良子/深貝大輔/松沢呉一/武藤起一/ジュリー・ドレフュス/三留まゆみ/石川忠/吉村俊弘/大谷清英

鉄男Ⅱ BODY HAMMER TETSUOⅡ THE BODY HAMMER

1992/海獣シアター・東芝EMI製作/東芝EMI・海獣シアター配給/92年10月3日公開/シネマライズ渋谷(L)/35ミリ/コダック/カラー/モノラル/スタンダード/83分/6reels/R15指定
©1992 TOSHIBA-EMI・KAIJYU( THEATER

鉄男Ⅱ~TETSUOⅡ THE BODY HAMMER SUPER REMIX VERSION~ [DVD]
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鉄男 TETSUO コンプリート・サウンドトラック
鉄男 TETSUO
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〈解説〉いわゆる続編ではなく、『鉄男』のモチーフをSFアクションにグレード・アップさせた全く新しいストーリーのパート2。塚本はこの映画を持って1年がかりで世界中の映画祭を回り、後の日本映画海外進出の先駆けとなる。93年2月には再編集版“スーパー・リミックス・ヴァージョン”がテアトル池袋を皮切りに発表され、以降、このヴァージョンがオリジナル扱いとなっている。

〈略筋〉谷口朋生(田口トモロヲ)は、8歳で他人の家に貰われるまでの幼い記憶を喪失していたが、いまは妻のカナ(叶岡伸)、3歳の息子と、ハイテクなマンションで平穏に暮らしていた。その幸福な一家に忍び寄る、不気味なスキンヘッドの二人組。黒装束に身を固めたその兄(手塚秀彰)と弟(浅田修生)は、ショッピング中の谷口一家に突然襲いかかった。谷口の肉体に何かを撃ち込み、息子を連れ去り、都市を駆け巡って谷口を翻弄する。執拗に殺意をあおるスキンヘッドの兄弟は、その夜、谷口を巨大倉庫へ連れ去った。中では、何十人ものスキンヘッドの男たちが、暴力的な肉体訓練を続けている。その一角に置かれた拘束椅子に縛られ、谷口の生体実験が開始される。その様子を、スキンヘッド集団を司る青年“やつ”(塚本晋也)が、別の部屋から眺めていた。脳神経に刺激を与えられた谷口は、肉体の一部が鋼鉄の銃器と化し、激しく発砲。予想以上の破壊力を持った無意識の発砲を繰り返した後、谷口は逃走した。だが“やつ”はカナを誘拐し、谷口を煽り、再び巨大倉庫におびき寄せる。息子を殺され、次第に完璧な人間銃器と化した谷口は、“やつ”と対峙。壮絶な戦いの火ぶたが切り落とされるのだった。

☆92年ポルト国際映画祭審査員/92年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭批評家賞、ロバート・ワイズ賞/92年ブリュッセル国際ファンタジー・スリラー・SF映画祭審査員特別賞/92年タオルミナ国際映画祭審査員特別賞/92年シッチェス映画祭審査員特別賞/92年モントリオール・ファンタスティック映画祭特殊効果賞/第7回高崎映画祭若手監督グランプリ受賞

鉄男Ⅱ BODY HAMMERスーパー・リミックス・ヴァージョン
93年2月13日公開/テアトル池袋/35ミリ/カラー/モノラル/スタンダード/82分/6reels/R15指定
©1993 TOSHIBA-EMI・KAIJYU( THEATER
(以降スーパー・リミックス・ヴァージョンが『鉄男Ⅱ』のオリジナルヴァージョンとなる。)

[スタッフ]
製作:海獣シアター/東芝EMI
配給:東芝EMI/海獣シアター
製作・監督・脚本・撮影美術・照明・編集:塚本晋也
製作:小泉洋
プロデューサー:宍戸史紀/黒川文雄/竹内信夫/相原裕美
助監督:小嶋博幸/川原伸一/大谷清英
撮影助手:小田史一/横山克典
撮影補・スチール:天満眞也
美術担当:吉村俊弘
制作:芳賀昌美/安保瑞枝/田代恭子
制作助手:佐々木昭子/坂本貴美佳/守吉優子/中山叔子
特別協力:芦川博美
特殊メイク・造型:織田尚/高濱幹/深谷陽/河野泰枝/布施環/原田千晴/松尾義臣/山田哲也/新山由樹夫
美術:菅野稔/平野哲也
音楽:石川忠
エンディングテーマ「MATERIALS」布施寅泰「GUITARHYHTM」より(作詞:ハービー山口/レニーザカテク・作曲布袋寅泰)
衣裳:岩崎浩子/伊藤由美/加藤由加/米盛倫太郎
ヘアーメイクアップ:菅原真由美/佐々木かおり
スチール:松村麻里子
録音:福島音響/福島行朗/福田伸/大内ゆかり

[キャスト]
谷口朋生:田口トモロヲ
カナ:叶岡伸
やつ:塚本晋也
スキン(兄):手塚秀影
スキン(弟):浅田修生
谷口の父:金守珍
谷口の母:岩田珉
小男:川原伸一
蟻田:歌澤寅右衛門
谷口未典:富岡敬之介

鉄男 TETSUO THE IRON MAN

 

1989/海獣シアター製作/海獣シアター配給/89年7月1日公開/中野武蔵野ホール(L)/16&35ミリ/フジ/B&W/モノラル/スタンダード/67分/4reels/R指定
©1989 KAIJYU THEATER

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〈解説〉ローマ国際ファンタスティック映画祭でグランプリを獲得し、塚本の名を一躍世界に知らしめることになった16ミリ作品。86年の8ミリ作品『普通サイズの怪人』をベースに、頬にできた鉄のトゲから、肉体が鉄の細胞に侵蝕されていく男の爆裂劇を、メタリックな美術、音響と、機関銃のようなリズムのコマ撮りで、パワフルに映像化。当時隆盛となる人間とテクノロジーの相克を描くSFジャンル、サイバーパンクの日本における先駆となる。鉄雄という名の少年が主人公である大友克洋のマンガ&アニメ『AKIRA』と共に、日本代表のカルト・スタンダードとなった。

〈略筋〉ある朝、サラリーマンの男(田口トモロヲ)が目覚めると、頬に金属のトゲのようなにきびが出来ていた。出勤途中のプラットホーム。事務員風の眼鏡の女(叶岡伸)が、金属と溶け合い膨張した腕を振りかざして男を襲う。無意識に眼鏡の女を殴り倒した男の、その恐ろしい力をたぎらせた腕は、カサブタのような金属に被われ、熱を噴き上げていた。激しい痛みを伴い、次第に金属に侵蝕されていく男の肉体。ついに金属は顔面の半分を被い、ペニスにまで広がる。男は忽然と作動してしまった股間のドリルペニスで、恋人の女(藤原京)を犯し殺してしまう。その時、電話のベルが鳴る。電話の主は、かつて男と女がひき逃げした、“やつ”(塚本晋也)。彼はその事故により、脳に金属片が刺さってしまったのだ。“やつ”は男に復讐を果たすため、激烈なスピードで男のもとへ向かった。そして終わることのないメタルサイキック戦争が始まるのだった。

☆89年ローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞

[スタッフ]
監督・脚本・撮影・特殊効果・美術・照明・編集:塚本晋也
助監督・撮影・衣裳:藤原京
音楽:石川忠
オペレーター:尾崎光宏
挿入曲:「見はてぬ想い」
作曲:奥沢明雄
監督助手:叶岡伸/小嶋博幸/石上朋子/小高朋子/福居正臣/永尾英代/渋谷恒一/佐藤純子/額田みどり
録音:朝日サウンドスタジオ/佃光男/後藤正治/佐藤浩司
東京テレビセンター
協力:木村俊樹/大坪正英/佐藤俊夫/堀川圭祐/秋元正美/安岡卓治/西村隆/黒田せつこ/坂下美香

[キャスト]
男:田口トモロヲ
女:藤原京
眼鏡の女:叶岡伸
やつ:塚本晋也
医者:六平直政
謎の浮浪者:石橋蓮司

電柱小僧の冒険 THE ADVENTURE OF DENCHU−KOZO

1987/海獣シアター製作/8ミリ/カラー/モノラル/スタンダード/45分
©1987 KAIJYU THEATER

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〈解説〉背中に電柱の生えた少年が近未来で鉄の吸血鬼軍団と戦う、異色ヒーロー・ファンタジー。元々はオリジナルの舞台劇だったが、そのために作った美術を流用して映画化に挑戦。8ミリ作品ながら、ジェットコースター感覚に満ちた観客参加の映画となる。88年度のぴあフィルムフェスティバルアワードでグランプリを獲得。エンディング・テーマは、ばちかぶり(田口トモロヲがヴォーカルを担当していたパンク・バンド)の名曲『オンリー・ユー』。95年10月21日にBOX東中野にて公開されたものは、ビデオリミックス版。

〈略筋〉いじめられっ子の学生、電柱小僧(仙波成明)は、ひょんなことから25年後にタイムスリップしてしまう。そこで待っていたのは、中年の女教師サリバ先生(叶岡伸)。彼女は電柱小僧に、鉄の吸血鬼軍団と戦うことを要請する。軍団は危険な秘密兵器の製作を進めており、それが完成すると、世界は爆発の暗雲により闇に包まれ、鉄の吸血鬼たちがはびこる世界がやってくるというのだ。しかし電柱小僧は全く戦う術を知らず、やがてサリバ先生は血を吸われて死んでしまう。悲しみに暮れる電柱小僧は、サリバ先生が、自分をいじめっ子から助けてくれた少女、モモコ(叶岡伸、二役)だったと気づく。号泣する電柱小僧から激しい放電が始まり、彼は怒りの怪人となり、吸血鬼軍団を蹴散らした。そこへ現われたのは、電柱小僧とモモコの娘だという少女。そして元の世界に戻った電柱小僧は、救世主としての使命を自覚するのだった。

☆88年ぴあフィルムフェスティバルアワードグランプリ受賞
ビデオリミックス版:製作・配給:海獣シアター/95年10月21日公開/モノラル/スタンダード/45分©海獣シアター

[スタッフ]
製作・監督・脚本・撮影・美術・照明・編集・特殊効果・道具・イラスト:塚本晋也
音楽:ばちかぶり/JUKE JOINT JUNK(NOBU叶岡、JUKE弘井、MICK児玉 CANDY塩入)
制作進行・監督助手・衣装:藤原京
監督助手:佐賀充
衣裳:叶岡伸
録音:奈佐健臣

[キャスト]
電柱小僧:仙波成明
サリバ先生/モモコ:叶岡伸
未来のイヴ:藤原京
近藤:塚本晋也
土方:タグチトモロヲ
沖田:佐賀充
坂本龍馬:奈佐健臣

普通サイズの怪人 THE PHANTOM OF REGULAR SIZE

1986/8ミリ/カラー/モノラル・マグネ録音/スタンダード/18分
©1986 tsukamoto shinya
[スタッフ]
制作・監督・脚本・撮影・照明・美術・編集・特撮:塚本晋也
[キャスト]
田口トモロヲ/塚本晋也/藤原京/叶岡伸