斬、KILLING

2018/製作:海獣シアター/新日本映画社配給
18年11月24日公開/DCP/カラー/5.1CHデジタルサウンド/1.85:1/80分/PG12
©2018 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER ALL ROGHTS RESERVED

〈解説〉
一本の刀を過剰に見つめる若い浪人の話。という長い間温めてきた1行の案を、
『野火』のあと急速に膨らませ制作。山形庄内の限られた空間で撮影し、塚本作品としては珍しく3週間という短期間で撮り上げた。池松壮亮、蒼井優の演技バトルに力点を置き、『バレット・バレエ』『野火』に続き中村達也、そして塚本が脇を固める。様式的な殺陣でなく、恐ろしい痛みを感じさせる刀の力を追求し、苦悶する池松、蒼井の姿を通して現代という時代を照射させた。
長年にわたり塚本作品の音楽を手掛けてきた石川忠が2017年12月に亡くなり、この作品も石川が音楽を担当していたが、監督の塚本が受け継ぐ形で石川の作り上げてきた音楽を編集し完成させた。これにより、第51回シッチェス・カタロニア国際映画祭の最優秀音楽賞を受賞した。

(略筋)
250年ものあいだ泰平の世が続いた江戸時代末期。困窮で藩を離れる武士も多く、江戸近郊の農村に身を寄せる若き浪人・都筑杢之進(池松壮亮)もその一人だった。杢之進は農家を手伝い食つなぐ日々を送りながら、農家の息子・市助(前田隆成)に剣の稽古をつけ自身の腕も磨き続け、市助の姉・ゆう(蒼井優)とは身分の違いがありながらも密かに想い合っていた。この頃、国内は開国するか否かで不穏な空気が漂い、ゆうは杢之進が村を離れ中央へ参戦する日が近づいている事を恐れ、また武士に憧れる血気盛んな弟を心配していた。ある日、三人は一人の剣豪・澤村(塚本晋也)と出くわす。杢之進と市助の稽古を見ていた澤村は、杢之進の腕に惚れ込み、自分の組織の一員として江戸へ行き、泰平を守るため京都の動乱に参戦しないかと二人を誘う。市助は農民の自分も連れて行ってもらえると喜ぶが、杢之進は剣の才能はあるが人を斬った事が無く密かに葛藤する。そんな時、どこからか無頼者(中村達也)たちが村に流れ着いて来る。悪い噂の立つ彼らの存在に農民たちは怯え、剣の立つ杢之進にどうにかしてほしいと願う。杢之進たちが江戸へ旅立つのを前に、小さな村で事件が起こり、その事が恐ろしい事態を招いてゆくのだった。

第33回高崎映画祭
最優秀作品賞
最優秀主演男優賞(池松壮亮)
第73回毎日映画コンクール 男優助演賞(塚本晋也)
第92回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画ベスト・テン第7位
第51回シッチェス・カタロニア国際映画祭 最優秀音楽賞(石川忠)
第23回日本インターネット映画大賞 日本映画音楽賞(石川忠)
第13回アジア・フィルム・アワード 編集賞(塚本晋也)
第69回芸術選奨文部科学大臣賞 映画部門(塚本晋也)
2018年度全国映連賞 男優賞(池松壮亮)

[スタッフ]
製作・監督・脚本・撮影・編集 : 塚本晋也
助監督・撮影 :林啓史
撮影部・照明 :坂本あゆみ、中西克之
美術:遠藤剛
衣装 : 宮本まさ江
    千代田 圭介
殺陣 -:辻井啓伺
殺陣補佐:舟山 弘一
音楽 -:石川忠
サウンド -:北田雅也
時代考証 – 大石学
制作:中村元 堤健太
制作協力:斎藤香織
監督助手:佐々木裕文、峯 達哉、弓場 絢
考証担当:祝 大輔
撮影助手:日下部 文哉
特殊メイク/造形:陸田 千春
特殊造形:大泉 彩音
衣裳助手:濱中 美衣、斎藤 育子
スチール:内堀 義之
床山:荒井孝治
持道具:玉山 佑典
美術応援:MASAKO
北垣杏里
原口崇正
宮本明子
原口崇正
岡本英也
志田直之
 
津田輝王、関口里織
長岡広太
相場浩之
字幕制作コーディネート:鈴木草多、吉田淑恵
協力:小西真円一之

[キャスト]
都築杢之進 – 池松壮亮
ゆう – 蒼井優
源田瀬左衛門 – 中村達也
市助 – 前田隆成
澤村次郎左衛門 – 塚本晋也

嘉兵衛 大槻修治
滝   クノ真季子
一蔵  横内直人

浪人  塚本耕司
    辻井正人
    神高貴宏
    入江庸仁

    須森隆文
    尾崎一彦
    叶 雅貴
    松浦健城
    加藤幸司
    充吉修介
    市川裕隆
    平山久能
    上野 太
    清水 修
    酒巻二郎
    長尾寿充
    神保良介
村人  中村 元